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2008年12月24日 (水)

桃伝説 第1章

1章「来襲せし者達」

 「桃から産まれたから桃男にしようかと思ったけど、それじゃあんまりだから、

桃の種男。いや、なんか種馬みたいで格好悪いから没。じゃあ、桃の助。

・・・なんかピンとこないねぇ・・・。あ~・・・なんか面倒になってきた。

もう良いわっ!なんだかんだ考えるの辞めた!こいつの名前は普通に太郎!」

 略して桃太郎は、お婆さんとお爺さんの元ですくすくと育ちました。

戦闘の達人であるお婆さんからは、戦いの基本から応用までを、

マゾの神であるお爺さんからは、防御の基本から応用までを

(あえて攻撃を受けて快感に浸る方法はお婆さんの強い反対にあい、

教えることが出来ませんでした。)、

それぞれに教えてもらいながら、桃太郎は実に「強く」「逞しく」

そして「野心家」に育ちました。

 産まれ出でて8年を数えた時から、桃太郎は心に一つの想いを抱くようになっていました。

「天下統一」

 なんと、10歳にも満たない、この子供の目には、

既に歴代の諸大名となんら変わりのない、野望の火が灯っていたのです。

(だが、まだ早い。今は心身ともに未熟。あと5年・・・。あと5年のうちに、

あらゆる困難に対抗しうるだけの、強い身体と心を養わなければ・・・。)

 桃太郎、生後8年と4ヶ月。今日も彼は明るい未来に向けて、

己を磨き続けているのでした。

 その頃、桃太郎の住む、この大地に、二つの異変が起こっていました。

 まず一つは、今まで名も無かった小さな集落が、名前を持ち始めたことです。

近隣の集落の長が集まって寄り合いを開いたところ、

①集落に名前が無いのは不便だ。

②これからはそれぞれの集落も個性を持つべきだ。

③集落対抗運動会がやりたい。

④お婆さんに斬られた吾兵は何処の集落のものだ?

⑤筆者が、集落に名前がないと書きづらい。

⑥集落に名前が無くても、読者に分かりやすく書けるほど、筆者には文章力が無い。

 など、様々な意見が飛び出し、それぞれに名前を持つことが

決められました。

 桃太郎の住む集落は、雄大なる馬追丘陵(この物語の中の丘陵。

ちなみに「うまおい」と読みます。)の麓、

ゆったりと縦に伸びたその姿から「長村」と名付けられました。

 長村から北へ徒歩で1日の距離にある、吾兵の住んでいた集落は、

秋に立派な栗の木が、多数実を結ぶため「栗村」と名付けられました。

 その他にも、幾多の集落が、それぞれの特徴を込めた名前を、

自らの住む集落にあてがうようになりました。

 こうして、多くの集落が集まり、「蝦夷国(えぞぐに)」が形成されたのです。

 二つ目の異変。

 蝦夷国が形成されてから、2ヶ月も経たないうちに、

国の至る所に「鬼」が目撃されるようになったのです。 

 鬼は田畑を荒らしたり、家畜を襲ったり、徒党を組んで村を襲撃したりと、

悪行の限りを尽くしていました。

 それぞれの村の村長は、再び寄り合いを開き、

鬼に対抗するべく、討伐隊を結成して鬼退治に向かいました。

しかし、鬼達は、この世のものとは思えない強さで(そりゃあ、鬼だからね・・・)、

幾度となく派遣された討伐隊は皆、ことごとく全滅させられてしまいました。

 そして、その後鬼達は、蝦夷国最大の集落である「札村」を陥落。根城を構えると、

近隣の村に対して侵略を始めたのです。

 

 鬼達の中には、特に凶暴な三匹の鬼が居ました。

ここはキャッチフレーズ付きでご紹介いたします。

 一匹目は、「あんたが大将、俺ら(鬼ら)の大将、

その一撃は空気を引き裂く。天下無双のろっ鬼ーです。」

 その通り鬼達を束ねる総大将です。

語尾に必ず「~ワン♪」を付けて喋るという可愛らしい一面を持ちつつも、

戦闘能力は群を抜いており、百人の討伐隊をたったの10分で

倒してしまったという話です。ぱっと見「ただの犬」にしか見えないらしいのですが、

頭には立派な二本の角があり、何か気の様な物をまとっていると

言うことでした。(証言者:札村の生き残り「作衛門」)

 二匹目は、「猪突猛進。ちょっと頭は弱いけど誰にもオイラは止められねぇ。

足跡いつでも一直線。特攻隊長正拳突鬼です。」

 常に先陣を切って敵に突っ込む、かなり血の気の多い鬼です。

その突進力は半端ではなく、丸太で作った柵を軽々と破壊し、

待ち構えた討伐隊も、誰一人彼を止める事が出来ませんでした。

ただ、その後勢い余って岩山に衝突して、気を失ったというアホな一面もあり、

なかなかどうして憎めません。(証言者:討伐隊「熊次」)

 三匹目は、「冷静沈着。それが私のモットーだ。如何なる時でも慌てるな。

お前の横には誰が居る?生ける戦術指南書計算鬼です。」

 鬼達の軍師を勤める、頭脳明晰な鬼です。

バラバラな鬼達をまとめ上げ、軍隊として完成させたのが彼です。

ただ、残念ながらキャラ的には大して面白みも無く、冗談も通じないので、

鬼達の中ではどこか浮いている感バリバリです。(証言者:正拳突鬼)

 このように、強力な鬼達は、今日も元気に明るく悪行に励んでいます。

果たして、人間達の運命は如何に?

 

 こうした二つの異変が起こりつつも、桃太郎の住む長村は田舎なので、

時勢に流されず、ほのぼのと毎日を送っていました。

 そして、月日は流れ、桃太郎が13歳の誕生日を迎えた朝。

いよいよ、物語は動き始めるのでした。

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